家庭にオススメな電気
電力自由化により将来料金が値上がりする可能性も…
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2016年4月1日から電力小売り自由化(電力自由化)がスタートします。ソフトバンクやKDDI(au)などこれまで電力事業とは無関係だった会社や、東急(東急パワーサプライ)など電鉄会社、さらには東京ガスやエネオスなど各社入り乱れて電力事業への参入を発表しています。今のところ、各社とも電力料金の値下げやポイント付与(ポイント還元)など非常にお得感の強いプランを発表しており、われわれ消費者としてメリットが大きいように見えますが、本当にこのまま電力が安くなり続けるのでしょうか?
ここでは既に電力自由化を行った先行例としてイギリスの事例を見ながら、そのデメリットについても考えたいと思います。
加熱する電力自由化商戦
既に述べた通り、4月1日の電力自由化に向けて各社とも料金プランを発表し始め、どのプランがお得なのか、TVや雑誌でも特集が始まってきています。
中でも多いのは、セットによる割引やポイント還元というプランです。例えば堺雅人などを起用した白戸家シリーズで大々的にTVCMもおこなっているソフトバンクの「ソフトバンクでんき」の場合、Tポイントが貯まったり、さらに携帯料金と組み合わせることで、「家族3人で2年間最大約161,840円相当おトク!」(※2016年2月1日現在)とホームページ上で謳っています。また、東急電鉄系の東急パワーサプライが提供する「東急でんき」では東急乗車で東急カード支払い、イッツコム契約などの条件を満たせば「一戸建て4人家族の場合に年間約12,620円おトク!」(※2016年2月1日現在)と銘打たれています。
さながらディスカウント合戦のような状況になっていて、消費者として電気料金が安くなって嬉しい一方で、どのプランを選べば本当にお得か分からないような嬉しい悲鳴が聞こえてきます。
電力戦国時代から業界の寡占化により、将来は値上げも・・・?
ここで見ておきたいのは、電力先進国のイギリスの事例です。イギリスは1990年に国営の中央電力公社が3つの発電会社と送電会社に分割民営化され、当時は50社以上も電力事業への新規参入業者があったそうです。また、99年には今回の日本の電力自由化のように一般消費者への電力自由化がスタートし、徐々に電気料金が値下がりし、2002年には自由化前の約40%まで電気料金が下落しました。ここまでは消費者にとっても非常にうれしい状況です。しかし、その後は次第に電力事業者が競争から脱落していき、業界が6社程度まで絞られ、さらには発電シェアの高い火力発電の燃料となる原油価格の上昇により、04年ごろからは再び電気小売価格が上昇していきました。そして現在の電力価格は04年の約2倍となっている状況です。
民営化や競争の原理と、規制のバランス
言うまでもなく「電力自由化」は電気の民営化と自由競争という環境に身を置くことです。つまり自由競争となると、これまで国が各電力会社の価格を規制によって安定化させていたメリットはなくなり、競争が激しい場合や原油価格が安い場合には当然電気料金も安くなりますが、その反対に業界が寡占化したり、原油価格が高騰した場合には電気料金も高くなります。もちろん国もイギリスの事例を踏まえた上で、配電網を発電と分離させ使用料の公正さを保つ意志を示していますが、インフラの安定供給という非常に難しい問題も残っていることは事実です。果たして、今後の電気料金はどうなるか、われわれ消費者も注意深く見守り、考えていかなければなりません。
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