第二次世界大戦とトヨタから紐解く、【なぜ、今電力自由化なのか】

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2016年4月から、電力会社を自由に選ぶことが出来る。料金が安くなったり、環境に優しい会社を応援することが出来る。

・・・でも、なんで今、電力が自由化されたのでしょうか。 実は、第二次世界大戦とトヨタ自動車という、日本人なら誰でも知っているこの2つの歴史を見ることでその理由が明らかになってくるのです。

GHQによる電力独占施策

第二次世界大戦後、GHQの指導を受けながら日本は再始動しました。
その一環で国は、電力業界を北海道、東北、関東、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の9つのエリアに分け、全国に何百とあった電力会社を各エリア原則1社ずつの地域独占へと再編を行います。
のちに沖縄も加わり、2015年に至るまでこの10社による電力供給がなされてきました。
独占というと聞こえが悪いのですが、①電気を作ること（発電）、②作った電気を各地域に送ること（送電）、③消費者に電気を届けること（売電）を地域ごとに1社のみが一貫して行うことで、競争がなく安定して電力が供給することが出来たのです。

電気に限らず、ガスや水道といったインフラは、生活をするうえでなくては困るもの。一般企業のように競争が続いてしまうと安定して供給することが出来なくなるという理由から、地域独占という方法を選んだのです。
そしてその結果、計画的な設備投資が可能になり、世界有数の先進国ニッポン・世界トップクラスのインフラ大国ニッポンができました。
世界的に見ると決して安い電気料金ではないのですが、電化製品の品質の高さや停電後の復旧の早さから見るように、地域独占体制は戦後日本の復興の一翼を担ってきたのです。

トヨタに見るこれからの日本

日本から世界に羽ばたいた企業として名高いトヨタも、電力の地域独占なく育つことはありませんでした。

地域独占があったからこそ、各電力会社は安定して電力供給を行うことが出来ました。そのため、トヨタをはじめとする自動車産業はもちろん、家電産業や鉄鋼業など、大量に電力を消費して製造を行う各産業の発展にもつながりました。

しかしこれからは、国内はもちろん、世界のライバル企業と顧客獲得争いをしなければなりません。これが、いわゆるグローバル化です。
トヨタに限らず、これまで日本企業のほとんどが世界を相手に戦うために売りにしてきたのは高品質・高性能であることでした。しかし世界の技術力も追いついた今、革新的な技術、あるいはサービスを武器に戦わなくてはなりません。

そのため、大きなマーケットであるエネルギーを自由化し、異業種からの参入により新たな製品やサービスが開発されることが一つ大きなカギとなるという考え方が広まってきました。
この背景には、電話事業の民営化により通信産業が発達したという成功例があるためともいわれています。 さらに、太陽光発電や風力発電などの技術の発達やIT産業の発達により地域独占の必要もなくなってきました。

このような様々な要因が重なり、2016年、エネルギーの自由化という大きな一歩を踏み出すことになったのです。

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